地域に根ざした動物病院の歩みと未来 – パルク動物病院のM&Aストーリー

パルク動物病院 院長 小西 郁男 氏

パルク動物病院は、1996年に小西郁男氏によって札幌市内に開業されました。酪農学園大学獣医学類を卒業後、札幌市内の動物病院で5年間勤務した後に独立。2009年には、従業員数と来院数の増加に伴い現在の場所に移転しました。平均獣医師数が1-2名の動物病院が多い中、パルク動物病院は4名の獣医師を擁し、市内でも比較的大規模な動物病院として成長を遂げました。後継者問題と競争激化を背景に、2023年にWithmalグループとの事業承継を決断。今後は、獣医師としての海外ボランティアや和菓子職人への挑戦を視野に入れています。今回は、小西氏にパルク動物病院の沿革、事業承継の背景、そして今後の展望についてお話を伺いました。

パルク動物病院の創業からの沿革や、病院の特徴を教えてください。

小西: 私はもともと、生まれは大阪なのですが、酪農学園大学の獣医学類に進学するタイミングで北海道へ移住しました。
大学卒業後は、そのまま札幌市内の動物病院に就職し5年ほど勤めました。
そして1996年にパルク動物病院を札幌市内に開業しました。その後、従業員数・来院数ともに年々増えていき、病院も手狭になってしまったため、2009年に現在の病院の場所に移転をしました。

動物病院の平均獣医師数が1-2名のところ、当院では獣医師数は私を含め4名と、市内でも比較的大きな規模の動物病院となりました。

パルク動物病院 小西 郁男氏
パルク動物病院 小西 郁男氏

インタビュアー: 右肩上がりで成長していったんですね。

小西: 当時、同年代の獣医師は札幌の中心部に医院を作ることが多かったのですが、札幌市北区で開業したのも良かったかもしれないですね。石狩市というベッドタウンと隣接しているということもあり、開業当初の病院周辺は1区画70坪以上の庭付きの1軒屋が多数ある住宅地で、かつ札幌市の中心部と比べると近隣に大きな公園があったりして、犬を飼っている方が多い場所でした。

規模拡大による事務負担の増加の現実

これまでの動物病院運営で、特に苦労した点はございますか?

小西: 大きなトラブルを抱えたことはなかったです。ただ、従業員が増えるにつれて、全スタッフと直接のコミュニケーションを取るのが大変になってきたり、スタッフ同士での小さなトラブルの仲裁等、人間関係での苦労は増えていきましたね。
また、病院の規模が大きくなるにつれて、事務・労務等の仕事が増えてしまい、診療に集中しづらくなってきたことも苦労した点かなと思います。

経理周りや労務関係の業務等は、なかなか事務のスタッフに任せることもできず、自分でこなさなければならず、労力をかなり取られていました。

事業承継後はそういった部分が軽減されていく実感はありますか?

小西: 今は承継から1か月ということもあり、まだまだ引継ぎ作業の途中ですが、給与支払いであるとか領収書の管理であるとか、経理・労務関係はWithmalグループの事務の方に対応してもらえるようになりました。

今後ますますバックオフィス業務に関しては、棲み分けをはっきりし、獣医師や看護師は診療に集中できる環境が整っていくと思います。

Copyright © パルク動物病院
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引退を考え始めたタイミングや理由を教えて下さい。

小西: 元々60才くらいで引退しようかなと、漠然と考えていました。
特に決め手になったのは、私自身、今も酪農学園大学で研究生として在籍し、獣医療の勉強をしているのですが、獣医療の進歩に対して自分自身がついていくことに限界を感じるようになってきたことです。

獣医師としての経験のみに頼った診療では、動物や飼い主さんにベストな治療を提供できない。エビデンスに基づいた検査や治療を行う必要があると考えているのですが、獣医療の進歩についていくのが大変だと感じるようになった為、引退を考えるようになりました。

後継者問題と市場競争の厳しさに向き合って

第三者への承継を選択肢として選ばれた理由についても、教えてください。

小西: 大きく2点あります。
一つは「後継者問題」。私の息子も関東で獣医師として働き6年目なので、息子に病院を継いでもらう選択肢もありました。しかし、息子の希望は専門医を目指すことで、今年の7月からは海外留学も決定しています。
当院のような地域のかかりつけ医としての1~1.5次診療施設を経営するというのは、彼の目指している方向性とは異なるであろうという判断でした。

小西: また、もう一つの理由は「将来的な競争の激化」です。
ペットの飼育頭数は若干ながら減少しており、今後、人口減少も相まって益々市場は厳しくなっていくと思います。
そんな中でも、動物病院の数自体は未だに増えている現状です。
今の従業員を新たに院長として病院を任せたとしても、根本的な解決は難しいだろうなと考えていて、そういった厳しい環境の中でも経営をしていける能力がある第三者への承継を検討し始めました。

Withmalグループの印象について教えてください。

小西: 全国で30医院以上を運営していて、「動物病院運営のプロ」という印象を持ちました。Withmalグループに入ることで、パルク動物病院が今後も発展していき、従業員も働きやすい環境が作れるのではないかと思いました。

Withmalグループ社長で獣医師の山崎先生は、「スマートな経営者」というイメージが強いですね。初めて顔を合わせたトップ面談の際も、今までのパルク動物病院のやり方を最大限尊重して、病院運営を続けていく、ということを強調して伝えてくれたので、非常に安心感がありました。

左:(株)High Adoption 多田 舞樹 / 中央:パルク動物病院 小西 郁男氏 / 右:Lキャタルトン・ジャパン(株) 森 胤聡氏
左:(株)High Adoption 多田 舞樹 / 中央:パルク動物病院 小西 郁男氏 / 右:Lキャタルトン・ジャパン(株) 森 胤聡氏

小西: また、Withmalグループには、各エリアの複数の動物病院をまとめるマネージャーという役職の方々がいらっしゃいます。当院を担当するマネージャーは獣医師の市川先生という方なのですが、すごくバランスのいい方だなという印象です。頻繁に病院へ足を運び、各スタッフの話をよく聞いて親身に対応をしてくれます。事業承継への不安があった従業員もいたかと思いますが、市川先生のご対応のおかげで不安が和らいだスタッフも多いと思います。

従業員にM&Aのことを伝えた際はどのような反応がありましたか?また、従業員への伝え方について、何か工夫されたことはありますか?

小西: 「驚き」が半面、「やっぱりな」というのが半面だったと思います。
私自身、60歳での退職を希望していることは以前から従業員に伝えていましたから。
ただ、従業員も私の息子が獣医師であることも知っており、息子が引き継ぐのだろうという予想もしていたようで、第三者への事業承継を選んだ点では少し驚かれましたね。

従業員への伝え方、という意味では、Withmalグループさんに頂いた会社の説明資料を配り、「これから経営を任せる会社はこれだけ実績があって、大きなグループだよ」ということを強調して伝えました。
いきなり経営者が変わることについて、不必要に不安感を持ってほしくなかったので、従業員に安心してもらえる要素をしっかりと説明しました。

引継ぎ期間が終わった後、やりたいことはありますか?

小西: 2つ候補がありまして。一つは、獣医師として、海外協力隊の一員となり海外でボランティアをしたいと思っています。ちょうど最近、ブータンでの海外支援の募集が始まっていて、その募集は年齢制限がなく応募ができるんです。そのために、現在は週に1回英会話スクールにも通っています。
そしてもう一つが和菓子職人です。

インタビュアー: これまで携わってきた獣医業とは全く別分野ですね!?

小西: 学生時代から手に職をつけたいと考えていました。獣医師を目指したのもその為ですが、獣医学部の受験に失敗したら、京都に行き和菓子職人に弟子入りするつもりでした。

High Adoptionに対しての印象や、担当者の対応に対し思ったところはありますか?

左:パルク動物病院 小西 郁男氏 / 右:(株)High Adoption 多田 舞樹
左:パルク動物病院 小西 郁男氏 / 右:(株)High Adoption 多田 舞樹

小西: まず、High Adoptionさんとの関係は、ものづくり補助金の申請支援から始まりました。

医療機器を購入する際に、事業計画書の作成から採択後の資料作成まで、補助金獲得のサポートをして頂いて。

そのお付き合いがあったうえで、High Adoptionさんから事業承継の支援のお話があり、ちょうど60歳での引退を考えていたので話を聞いてみました。

小西: 正直、他社さんからもM&Aや事業承継がらみのDMは毎月のように届いているのですが、それに対し返答したことはありませんでした。補助金申請支援での信頼関係ができていたので、「今回もHigh Adoptionさんにお願いしよう」という気持ちになりました。
担当者に対しては、事業承継の完了までうまく導いてくれたな、と感謝しています。

正直、Withmalグループさん側へ提出するべき書類が非常に多く、途中で心が折れそうになってしまったこともあるのですが、書類の取りまとめや、Withmalグループ側との橋渡しをスムーズにやっていただいたかなと思います。ありがとうございました。

動物病院の院長先生の中で事業承継を考えている方々に対して、経験者としてアドバイスを頂戴できますか?

小西: 先ほども言いましたが、動物病院の市場はこれからどんどん難しい時代になっていくと思います。
そもそも獣医師になった人というのは、「動物の命を助けたい」とか、臨床のことを考えて始めた人ばかりで、経営的な知識に関しては全くの素人、という人が多いと思います。

なので、後継者不足に限らず、経営的な部分を任せて自分たちは臨床に集中できる環境を作ってもらえるというのは、グループ病院に属するとても大きなメリットだと思いますし、今後の市場で病院が生き残るためにも必要な手立てだと考えています。

もし、経営問題とか、後継者問題とかを抱えている病院さんがいれば、High Adoptionさんであれば親身に話を聞いてくれますし、まずは話だけでも聞いてみるのがいいかなと思います。

インタビュアー: ありがとうございました!

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