不採択にありがち?事業再構築補助金の事業計画書における失敗点
2022年10月6日
「事業再構築補助金」とは、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した中堅・中小企業の経営転換支援を行うために新たに創設された新たな補助金です。業態・業種転換や新規事業に進出する際に必要となる費用の最大2/3を補助し、1事業所当たり100万円〜最大1億円まで補助の対象となります。
昨今の補助金において、最も高額な補助対象金額であるとともに、全体予算で1兆1485億円が計上されております。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、2021年の中小企業向けの目玉の補助金です。
1/11(月)時点で発表されている情報をまとめると下記になります。
項目 | 補助金額 | 補助率 |
---|---|---|
中小企業(通常枠) | 100万円以上6,000万円以下 | 2/3 |
中小企業(卒業枠) | 6,000万円超〜1億円以下 | 2/3 |
中堅企業(通常枠) | 100万円以上8,000万円以下 | 1/2(4,000万円超は1/3) |
中堅企業(グローバルV字回復枠) | 8,000万円超〜1億円以下 | 1/2 |
※中小企業の定義は下記ページを参照ください。中堅企業の定義に関しては1/11(月)時点では未発表(https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/)
中小企業 (通常枠) |
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中小企業 (卒業枠) |
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中堅企業 (通常枠) |
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中堅企業 (グローバルV字回復枠) |
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対象要件は下記の2つをクリアすることです。
上記2点を満たすことが本補助金に公募する上で必須となっています。また、中小企業の範囲に関しては公式に「中小企業基本法と同等」と明記されております。中小企業基本法の第1条1項〜4項の内容をまとめると下記になります。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業 その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
上記で着目すべき点は個人事業主も含まれる可能性が十分にあることです。個人事業主やフリーランスが含まれるかどうかは、正式な公募要領が出るまでは分からないが、過去の補助金の流れを汲み取ると十分に含まれる可能性が高いため、個人事業主やフリーランスの方も本補助金の動向は追いかける価値が十分にあります。
売上減少要件は下表の内容と想定しています。
中小企業などが安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者に対して、国が認定する公的な支援機関として位置づけられています。例として、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が認定されています。具体的に登録されている認定支援機関に関しましては、下記より該当の都道府県を選択し検索してみてください。
(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/kikan.htm)
以上のように、新型コロナウイルスの影響を打破するためことが本事業の背景にあるため、新型コロナウイルスと、本補助金で取り組む事業との関連性が重要になり、コロナの影響による外部環境の変化に適応しながらも、事業規模の拡大や新規事業領域への参入、業態や事業内容の転換を行うものは、基本的に経産省が示す「事業再構築指針」に従うことになることが想定されます。今後、経産省が正式に「事業再構築指針」に関しては公表されると思われます。
また、補助経費に関しては補助金をまとめた「ミラサポ plus」というサイトでは下記のように定義されております。従って、本事業に伴う下記の項目に関しては全てを補助対経費として扱うことができると思います。
建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、研修費(教育訓練費)、技術導入費(知的財産に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出典等)等が補助対象経費
※補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外
公募開始の予想時期としては、2021年3月〜4月にかけて公募が行われると考えております。これまでの補助金の動向を伺うと、例年、1月に補正予算の成立が行われ、2月に公募内容の発表が行われます。そして、2カ月ほど公募期間となる流れが多いため、本補助金もこの流れを汲むものだと思われます。
2021年3月〜4月にかけて公募が行われる場合を想定すると、下記のようなスケジュールで進んでいくのではないかと思います。
補助金は後払いとなります。そのため、補助事業までが終了してから獲得できるため、それまでは自己資金もしくは融資にて賄う必要がございます。補助金の採択が決定すれば、高い確率で融資を獲得できるため、多くの事業者様が融資を活用しております。
現在、「事業再構築補助金」に対して1兆1485億円の予算が組まれており、1回の公募で使い切ることは当然不可能です。従って、募集回数は複数回あると断定できます。恐らく、年に2回の公募で3年間以上は続くものだと考えられます。ただ、後半になるにつれて予算が減っていくため、審査の基準も厳しくなると考えられるため、できる限り早い段階で公募することがポイントになるのではないでしょうか。
公式資料①:「実行計画」(令和2年12月1日 成長戦略会議にて発表)
公式資料②:「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済政策」(令和2年12月8日 閣議決定)
公式資料③:「PR資料」(令和2年12月8日 経済産業省公開)
公式資料④:「ミラサポPlus」(令和2年12月21日 ミラサポ上で情報公開)
公式資料⑤:「パンフレット」(令和2年12月24日 中小企業庁発表)
また、特に日本は中小企業が著しく多い国となっており、日本国全体の生産性向上のためには、中小企業等の生産性向上が必要不可欠です。現在、政府では中小企業をマクロで見た時に下記資料のように課題と解決策を考えているため、マクロ観点を鑑みる上で重要になるため参考資料として載せておきます。
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/katsuryoku_kojyo/dai1/siryou2.pdf)